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秘伝のレシピ

流水

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中川 光弘 香川県に生まれる。 東京大学農学部農業生物学科、農業経済学科卒業。博士(農学)。 農林水産省アメリカ・オセアニア研究室長を経て茨城大学農学部教授。 現在は茨城大学名誉教授、東京日野国際学院副校長。
秘伝のレシピ

今年の夏も異常な暑さだった。関東では40℃近くの日が何日も続き、クーラーの部屋でただ静かに過ごしていた。2015年のパリ協定では温暖化による気温上昇を1.5℃以下に抑えることが目標とされたが、日本の夏の気温上昇は既にこの目標値を超えているのではないかと思った。

この異常な暑さの中をお盆の墓参りのため車で石川県羽咋市まで出かけたからであろうか、9月に入って帯状疱疹を発症してしまった。まず頭痛から始まり、そのうちに右こめかみ付近に小さな発疹が出た。最初は虫に刺されたのかと思い、ロキソニンで痛みを抑え、虫刺されの軟膏を塗っていたのだが一向に改善の兆しが見えないので、主治医の東郷孝男先生のクリニックで診てもらった。帯状疱疹だろうとの見立てだった。

発疹が顔の右側だけに出ており、しかも三叉神経に沿って出ているので、帯状疱疹と診断され、抗ウイルス薬を処方してもらった。お陰で症状は一週間で落ち着いた。帯状疱疹はウイルスが原因の病気である。子供のころに麻疹に罹った時にウイルスに感染し、このウイルスは麻疹が治った後も神経節に潜伏し、免疫力が低下した時に再活性化するのだそうだ。

免疫力を高めることを考えた時、昔師匠の斎藤眞諦老師から習った秘伝のレシピのことを想い出した。

この秘伝のレシピの材料は、人参、胡瓜、大根、セロリ、山芋、さらにリンゴや梨、柿などの季節の果物である。全て日常に食べている野菜や果物で、特殊な生薬は含まれていない。これを大根おろし器ですって細かい粒子にし、かき混ぜてすぐに食べるだけである。一日一回食べる。

ポイントは、新鮮な食材を自分の手ですって混ぜることで、ミキサーを使ってはいけない。スプーンで食べると、すぐに手の皮膚が電気を帯びるのを感じる。不思議なことに、ミキサーを使うと電気を帯びない。

眞諦老師は、生命力のある粒子と粒子が混ざることによって生命エネルギー(プラナー)が生じ、それを食することにより、体全体の免疫力が高まると教えてくれた。シンプルなレシピなので、体の免疫力を高めたい方は、是非試してもらいたい。

この食材を本草学的に分類すると、人参は五味が甘、五気が平、帰経が肺・脾で、甘い味で、体を温めも冷やしもせず、肺と脾臓を活性化させる。胡瓜は甘・寒・胃・小腸で、甘く、体を冷やし、胃と小腸を活性化させる。大根は辛甘・涼・肺・胃で、甘辛く、体を涼しくし、肺と胃を活性化させる。セロリは甘苦・涼・肝で、甘苦く、体を涼しくし、肝臓を活性化させる。

山芋は甘・平・肺・脾・腎で、甘く、体を温めも冷やしもせず、肺と脾臓と腎臓を活性化させる。リンゴは甘・涼・脾・肺で、甘く、体を涼しくさせ、脾臓と肺を活性化させる。梨は甘微酸・涼・肺・胃で、甘く微酸で、体を涼しくさせ、肺と胃を活性化させる。柿は甘渋・寒・心・肺・大腸で、甘くて渋く、体を冷まし、心臓と肺と大腸を活性化させる。全ての五臓を活性化させる食材が含まれており、生きたままの食材を粒子にして混ぜ合わせて食するレシピである。

新鮮な野菜は生命力が旺盛である。例えば大根おろし器ですった人参の粒子を、寒天培地の上に載せて上手く管理すると、最終的には根、茎、葉、花、種子をそなえた人参にまで成長する。動物の幹細胞のように、小さな粒子には全ての器官に分化する遺伝情報が含まれている。このような生命力が旺盛な数種類の生きた野菜の粒子を混ぜて食するレシピである。

眞諦老師は剣山から降りてこられた際、よく私の家に泊まられたが、食事の際に何度も家庭料理は温かくて美味しいと語られた。業者が作る料理にはどうしても材料費を安くして高く売ろうとする企図が働いている。家庭料理は母親が家族全員の健康を願って作っているので、温かい味がするとよく語られた。

先日の「日本瞑想セッション」でも、アッチャラヤ(阿闍梨)のジョティ先生はホームメイドフードには平和で穏やかなポジティブなエネルギーが宿っていると語られていた。スピリチュアルな修行が進むと、食に宿るエネルギーの違いに気付くようになるらしい。

ヒンズー文化圏では、ヨガの体験から、人間の体は五つの層から構成されていると捉えられている。肉体、エネルギー体、感情体、叡智体、歓喜体の五つの層である。食は特に最初の三つの身体に影響を及ぼすと見なされている。

韓国で最高視聴率を記録した韓流ドラマの「ホジュン」では、東方医学を学び始めた主人公がまず14種類の水の識別とその利用法を学ぶシーンが出てくる。ただ「水」といっても、それに含まれる微量要素や磁性の違いにより、本草学では水を分類して使用する。

チベット医学では、秘伝の妙薬の調合は必ず満月の夜に戸外で行われる。満月の夜は、地上に降り注ぐ磁気が旺盛だからと言われている。食材に宿る生命エネルギー(気)にまで配慮した伝統医療である。最近ユーチューブで「波動医学」のことを時々見かけるが、これからの栄養学はこの領域にまで研究が進んでいくのかも知れない。

2025/10/25

Tags:内宇宙の旅

Comment

  • So Ishikawa:
    2025年10月26日

    流水さま
    秘伝のレシピ、ありがとうございます。生命力が旺盛な数種類の生きた野菜の粒子を混ぜて食するというレシピ、早速試してみたいと思います。


    健康な時は、なかなか五感の誘惑に勝てませんが、肉体が老い衰えて欲望が低下してくると、不思議なことに「食べ物にはそれをつくった人の動機や想いが宿っている」ということを感じられるようになってきます。

    老いは、食の世界でも、人間にとって本当に大切な「エネルギー波動」の存在を教えてくれるのかもしれません。


    日々食べているものが私たちの肉体をつくり、日々接している情報が私たちの意識をつくります。そして心と体は切り離せない「心身一如」の関係にあります。


    今、時代はこの物質の次元をさらに超えて、目に見えない動機や想念を問う「波動の世界」へ向かおうとしています。

    老いのステージを悔いなく生きるために、「医食同源」の智慧を実践し、「波動の世界」を感じる感性を研ぎ澄ましてゆきたいと思います。

  • 石部 顯:
    2025年10月27日

    「大根おろし器ですった人参の粒子を、寒天培地の
    上に載せて上手く管理すると、最終的には根、茎、葉、
    花、種子をそなえた人参にまで成長する。動物の幹細
    胞のように、小さな粒子には全ての器官に分化する
    遺伝情報が含まれている」

    人参の一粒子が、一本の人参に成長するのが面白い。
    人間も一つの受精卵から、人体の細胞37兆個ができ
    ている。個と全体のつながりは、とてつもなく深い。

    人間(ミクロコスモス)と宇宙(マクロコスモ)は、一つで
    あると、東洋と西洋の古代の叡智は、共に語っている。

    ピタゴラスは、宇宙・自然のはたらきを、9つの波動で
    分類し、1から9の自然数をもとに、宇宙と人間のエネ
    ルギーを解明した智慧を集大成し、後世に伝えた。

    ルーツは、エジプト、バビロニア、インドに遡り、東洋の
    気の学問とも、つながっていることが分かる。

    「人間の体は五つの層から構成されていると捉えられ
    ている。肉体、エネルギー体、感情体、叡智体、歓喜体
    の五つの層である。食は特に最初の三つの身体に影響
    を及ぼすと見なされている」

    「医食同源」━結局、肉体を作るものは食べるものであ
    り、それが不自然なものだと、当然、肉体も病んでくる。
    つまり、自然(健康・元気)の理に反するゆえに、不自然
    (不健康・病気)となるのは必然で、気が病むことになる。

    「『波動医学』のことを時々見かけるが、これからの栄養学
    はこの領域にまで研究が進んでいくのかも知れない」。

    東洋と西洋の古代の智慧で共通している点が、まさに、
    「全ての現象を波動として捉える」ことである。私たち人間
    の思考も感情も、様々な出来事もすべて波動エネルギー
    であり、それぞれの周波数を持っている。私たちのマインド
    パワー(心の力)は、肉体の健康や運命の創造に絶大な力
    を持ち、これを正しく使いこなせば、肉体や運命に影響を与
    える目に見えない自然の力を超えることができるとさえ説く。

    「波動医学」と同様、「波動心理学」の解明が待たれている。

  • 流水:
    2025年11月5日

    眞諦老師のレシピで使われている食材はすべて毎日食べても大丈夫な食材です。安心して食べてみて下さい。時々季節の果物を変えて楽しんでください。
     どのくらいの量を食べるのか、の質問を受けました。私は写真に写っている大根おろし器の下の容器の7割ぐらいの総量を食べています。もし多かったら2回に分けて食べて下さい。残りは冷蔵庫で保管してください。

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