愚老庵愚老庵

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スターチャート

流水

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中川 光弘 香川県に生まれる。 東京大学農学部農業生物学科、農業経済学科卒業。博士(農学)。 農林水産省アメリカ・オセアニア研究室長を経て茨城大学農学部教授。 現在は茨城大学名誉教授、東京日野国際学院副校長。
スターチャート

この二回にわたって、人間の「死」と「悟り」について振り返ってみたので、今回は、人間の「誕生」について仏教的視点から振り返ってみたい。

私の教え子で国際弁護士のシュレスタ(Shrestha)君は、ネパールのネワール族出身である。ネワール族では、子供が誕生すると両親はその子供を村の寺院につれて行き、僧侶にその子供の一生を占ってもらうそうである。シュレスタ君も生れた時に占ってもらった予言書を、今もお守りとして大切に持っているそうである。

僧侶はその子供の生年月日のスターチャート(星図)から、一生を占う。いわゆる占星術である。インド文化圏では、今でもこの占星術を人生の指針として活用している。この背景には、人間をミクロコスモス(小宇宙)、宇宙をマクロコスモス(大宇宙)と捉え、われわれの生命は両コスモスの共振の中で展開していくという生命観がある。

チベット仏教では、顕教の修行が一通り修了すると、選ばれた僧侶たちは密教学堂に進学する。密教学堂には、医学と天文学の二つの専攻があり、どちらかを専攻する。医学はミクロコスモスの代表科学であり、天文学はマクロコスモスの代表科学といえる。

インド医学やチベット医学、中国医学などの東洋医学では、治療にスターチャートを使うことがある。韓流ドラマの『ホジュン』を見ていると、重篤な難病治療に主人公のホジュンがスターチャートを調べて針を打つ時刻を決めるシーンが出てくる。彼が編集した『東方医鑑』には、ミクロコスモス(人体)とマクロコスモス(宇宙)が調和して初めて健康が成立するという治療論が記述されているそうである。

どうして人体と宇宙は相互に連関しており、古来より占星術を発達させてきたのであろうか。Oaho(和尚)は、人間の誕生について、次のように語っている(和尚、マ・アナンド・ムグダ訳『隠された神秘』)。

「あなたが生れると、その時の星の調和によって生れたメロディーは、最も純真で繊細な状態にある、あなたの誕生時のマインドに刻み込まれる。これは、生涯を通じて快調・不調の原因となる。誕生の時に存在した、最初の音楽的な調和に同調して生活すれば健康だ。そして、この基本となる音楽的な調和が壊れると、必ず病気になる。・・・・

子供が母親の子宮に宿るとき、それは子供にとって最初の露出となる。子供が誕生する日は二度目の露出だ。この二回の露出は、子供の敏感なマインドに、まるでフィルムのように焼き付けられる。その瞬間の世界がありのまま、子供に焼き付けられる。だから子供の中には、その瞬間のありのままの世界に対する共感がある。」

この占星術の根本原理については、斎藤眞諦老師も説いておられた。まず、母親の子宮への受胎の瞬間と出産の瞬間の二回露出が起こり、その時のスターチャート(星図)に応じて生じていた地磁気のパターンが焼き付けられ、その子供の基本磁気パターンとなる。スターチャートは時々刻々変化するので、それに伴う地磁気の変化とその人の基本磁気パターンとが共鳴しながら、その人の生涯が展開していくことになる。

眞諦老師は初めて会った相談者には、必ず名前、生年月日、出生地を書かせていた。生れた日時と緯度経度が分かれば、密教占星術でその人の生涯が予見されると語られていた。占う場合、占星術とともに深い瞑想状態に入って「宿命通」と言われる一種の神通力も併用していた。信学行(信仰・学問・修行)を極めると、相談者の過去世と未来が自然に見えてくるらしい。

生物実験では、実験条件を厳密にコントロールして同一条件下で実験を行うが、植物の場合は実験結果がほぼ同一であるのに対して、動物では実験結果にばらつきが生じる場合がある。このばらつきは地磁気の変化の影響を人間と同じように動物も受けるためと説明されていた。

一般に占星術では、生れた時のスターチャートの影響で生涯が決まると考えられている。しかし、和尚は人間は特定のスターチャートを自らが選んでこの世界に誕生して来ると説いている。

「むしろ子供のほうが、望む影響を及ぼしてくれる星のもとで生れることを選ぶのだ。これは根本的に異なることだ。子供は誕生しようとするときに、惑星や星、そして誕生の瞬間を選ぶ。そしてさらに深く進むと、子供の受胎の瞬間をも選ぶのだ。・・・・

人間のほうが、そのもとで生れるべき星座を選んでいるということだ。自分の天賦の可能性が何であるのか、前世の生が全体としてどんな形をとったのか、また動機となる意識が何なのか、人は自分がなりたいものに従って、それにふさわしい星座のもとに生れる。

どの子供も、どの新しい命も、特定の誕生の瞬間にこだわる。子供は特定の瞬間に生れることを望み、新しい命は特定の瞬間に受胎することを望んでいる―両方とも互いに依存しあっている―。」

日本では1970年代末に「天中殺(てんちゅうさつ)」という言葉とともに占いブームが起こったことがある。私は、このブームの契機となった和泉宗章氏の『算命占星学入門』を購入して実用してみたことがあるが、確かによく当たる占術だと思った。この本はミリオンセラーとなり版を重ねたが、突然絶版となってしまった。この本を読んで自分の不運を悲観しした読者が自殺したため、和泉氏が絶版にしたためである。このように占いには、負の側面もある。

和尚は、占星術は今の文明とは別の文明で完成された科学であろうと語っている。すべての人は天賦の才能を持って生れてきており、それを知ることは、今世でのその人の魂の成長に役立つと述べている。眞諦老師は、この地球に生れてきた限り、どんな人もその人にしかなしえない天賦の可能性を宿しており、それを今世で開花させることができる、といつも語っておられた。

2026/2/24

Tags:内宇宙の旅

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