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グローバルウォーミング(地球温暖化)

流水

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中川 光弘 香川県に生まれる。 東京大学農学部農業生物学科、農業経済学科卒業。博士(農学)。 農林水産省アメリカ・オセアニア研究室長を経て茨城大学農学部教授。 現在は茨城大学名誉教授、東京日野国際学院副校長。
グローバルウォーミング(地球温暖化)

今年の夏もまた異常な暑さだった。気象庁は今年から最高気温が40℃を超えた日を「酷暑日」と定義し、これまでの35℃以上の「猛暑日」と区別することを始めたが、東海地区では7月にこの「酷暑日」が連続で5日間出現した。
台風15号が初めて茨城県に上陸し、その後逆走して温帯低気圧に変わったが、数日後には神奈川、千葉県に線状降水帯が発生して、千葉県の印旛沼では堤防が決壊して大洪水が起こった。千葉県はこの夏2回大洪水に襲われている。他方、西日本では干ばつが続き、ダムの水が枯渇して節水制限が実施された。

この様な異常気象が世界各地で頻発している。この背景にGlobal Warming(地球温暖化)の影響があることを多くの人々が実感するようになってきた。

地球温暖化は、人類活動の拡大に伴って化石燃料消費が増加し、大気中のCO2濃度が上昇して、地表温度が上昇する現象である。19世紀から大気中のCO2は、地表から放射される赤外線を吸収し、地表温度を上昇させる温室効果を持っていることが知られていた。
しかし、このCO2濃度が上昇していることが初めて実証されたのは、1958年にハワイのマウナロア観測所で大気中CO2濃度の経年観測が始まってからのことである。

これによると、大気中CO2濃度は、季節変動はあるものの、1970年の326ppmから2024年の425ppmへ一貫して増加を続けている。54年間で100ppmも増加したことになる。
この上昇を止めない限り、地球温暖化は今後も続くことになる。温室効果を持つ化学物質はCO2以外にもメタン、二酸化窒素などが知られており、これらのガス濃度も上昇傾向にある。

地球温暖化は、大気中の水蒸気量を増加させ大気循環を活発化させる。これに伴って、地球各地で気象変化が起こり、猛暑や大雨、暴風雨、干ばつ、熱波などが頻発化することが知られている。異常気象の常態化である。

地球温暖化問題への懸念は1980年代から国際的に高まり、1988年には国連の中にIPCC(気候変動政府間パネル)が設置された。IPCCは気候変動に関する科学的知見をとりまとめてほぼ5年ごとに評価レポートを公表し、気候変動への国際的対応を促してきた。

1997年にはCOP3が京都で開催され、先進国のCO2排出量削減が合意された(京都議定書)。2015年には途上国も含めてCO2排出量削減が合意され、産業革命以降の地球温暖化による気温上昇を1.5℃以内に抑制することが合意された(パリ協定)。協定国は、CO2排出量削減計画を公表し、この計画に基づいて削減努力を続けることが合意された。

しかし、現実には先述したように大気中CO2濃度は1970年の326ppmから2024年の425ppmまで一貫して増加しており、温暖化収束の兆しは見えていない。このままで行けば、今世紀末までには気温上昇は3℃を上回る可能性が高いことがIPCCの評価レポートで報じられている。

CO2排出量が増加している背景には、世界の経済発展と人口増加がある。経済発展に伴って1人当たりの化石燃料消費量は増加する。
アメリカ人の1人当たりの化石燃料消費量はインド人の消費量の6倍である。最近では途上国の経済発展が本格化しており、途上国でのCO2排出量が増加している。

地球温暖化は、その原因と影響が地球規模で進行している環境問題で、一国だけの対応では対処できない。国際協力が不可欠な環境問題である。1980年代以降、IPCCを中心に国際的な温暖化対策の枠組み作りが模索されてきたが、十分な対策が実現したとは言い難い。
人類は温暖化を止めることができた貴重なこの40年間を無駄にすごしてしまった、との悲観論も出ている。

IPCCに関しては、私も評価レポートの編集段階でレビュアーグループの一員として参加していたこともあり、地球温暖化への国際的対策の推移に注目してきたが、今振り返ってみて改めて各国の利害が錯綜する中で有効な国際協力を実現させることの難しさを痛感する。

世界で一番CO2排出量の多いアメリカの大統領は、未だに地球温暖化は科学者達のフェイク情報であると公言し、アメリカはパリ協定から離脱している。石炭大国の中国ですら2050年までにCO2の純排出量をゼロにすることを公約して、再生可能エネルギーや電気自動車の普及に務めているのに、世界一の経済大国であるアメリカがこの状況にある。

地球温暖化問題を人類が取り組むべき21世紀最大の課題だと最初に指摘したのはアメリカのカーター大統領だった。
カーター大統領は、『西暦2000年の地球』を公表し、地球温暖化問題に警鐘を鳴らした。大統領選で僅差で敗れたゴア副大統領も『不都合な真実』を出版して、地球温暖化対策の緊急性を訴えた。有効な国際協力が制度化されるためには大国のリーダーシップが重要であることを改めで実感する。

地球温暖化収束の兆しはまったく見えていない。
地表温度は上昇を続け、異常気象の頻発化、生態系の劣化、社会経済の混乱が今後も続くであろう。日本はまず地球温暖化のさらなる進行を想定して、その対策を整えなくてはならない。それと同時に、環境立国としてCO2排出量の削減に誠実に取り組まなければならない。

2026/10/26

Tags:メッセージ

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