愚老庵ノートSo Ishikawa
その人にしか出会えない風景
今年の8月の日照時間は、観測史上最短で40年ぶりの記録更新と報じられています。太陽が恋しい夏、台風一過の「晴れ間」を狙って九十九里浜に向かいました。
夜明けに間に合うように、午前2時に車で出発し、撮影ポイントには4時前に到着しました。日の出の時刻は4時56分。台風通過直後の、雲と風と波が造り出す夜明けのドラマと出会うことができました。
朝焼けの雲を背景に、砂が風に乗って渚を走り、打ち寄せる波の軌跡と交差してゆきます。久々に「魂を揺り起こす動画」との遭遇です。
砂と潮風から機材を保護するシートが飛ばされないように押さえながら、夢中で収録を続けました。ふと我に帰ると、周囲には釣り人やサーファーの姿もなく、私一人だけです。
日本ではこの時間、ほとんどの人がまだ眠りから覚めていないでしょう。海の向こうのアメリカは、おそらく夕方の喧騒の中でしょう。
この神秘的な風景と出会っているのは、78億人の地球人類の中で、私一人だけということになります。
「その人にしか出会えない風景がある」ふと、そんな言葉が浮かんできました。何故、私だけがこの風景と出会っているのでしょう?
コロナ禍と環境破壊、AIと強権支配によって、これまで当たり前だった日常が次々と崩壊してゆく地球の上で、何故、私はここでこの風景を動画で記録しているのでしょうか?
残念ながら「魂を揺り起こす風景」は、この問いかけに答えてはくれませんでした。私にできることは、稀有な出会いに感謝して、この風景を伝え残すことだけです。
今この時同時に、同じ地球上で、私には出会えない無数の風景が造り出されています。
人は皆、「その人にしか出会えない風景」の中で生きています。そしてその風景の中にその人が生まれてきた理由があると、「魂の旅」を探求した覚者達は説いています。
自分は何のために生まれてきたのか?、この風景を造り出している目に見えないもう一つの世界に惹かれ、その存在を伝え残してゆくことが、自分のミッションなのか?
この解答を探して、私のNATURE行脚は続きます。
NATURE JAPAN Aug.2021 朝焼けの海
https://nature-japan.com/post_nature/tsushin-aug2021-1/
2021/8/20
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