愚老庵ノートSo Ishikawa
特集コーナー新設します
NATURE JAPAN のサイトに「特集コーナー」を新設することにしました。
ご存知のようにNATURE JAPAN のサイトは、四季折々の生命のリズムをお届けする月刊の「NATURE通信」と、常設の「作品集」のコーナーで構成されています。
NATURE通信は毎回見ているけれど、作品集までは見る余裕がないという方が多数いらっしゃることが、Webサイトの視聴レポートで明らかになりました。
忙しさに追われる日々の暮らしの中で、「心を写す鏡」として、作品集を何度も繰り返し見ていただくというのは、さすがに無理があるようです。
そこで、作品集のコンテンツにもう一度出会っていただくために、新たに特集コーナーを設けることにしました。
このコーナーでは、切り口を変えて、作品集に収められた「ひとつひとつの風景」を再発見していただけるような特集を企画してゆこうと思っています。
ちょうど今、アナログ時代に収録したビンテージ作品を、高精細な大画面テレビでご覧いただくための「復元」作業を進めているところです。
古い絵画を復元するかのような繊細さでAIが描き出した「高精細なのにリアルではない」風景は、これまで見えていなかったものを描き出すと同時に、見る人を懐かしいノスタルジーの世界へと誘います。
新しい特集は、この「AIが復元した動画」のシリーズから始めさせていただきたいと思います。
「古くて新しい風景を旅する」というテーマで、新しく生まれ変わったビンテージ作品を、これから毎月1作品ずつ、10ヶ月をかけて特集してゆきます。
ぜひ、高精細な大画面テレビにこのコンテンツを映し出してみてください。そこには、PCやスマホの小さな画面では感じることができなかった不思議な世界が拡がってゆくはずです。
この12月から、月の初めにはこの「特集」を、そして月の後半には「NATURE通信」をお届けすることになります。
「懐かしいNATURE」と「旬のNATURE」。2つのNATUREが描きだす「生命のリズム」で、魂の故郷に還る機会を増やしていただければ幸いです。
Special Feature AIが復元した動画
<復元版> 生々流転
https://nature-japan.com/seiseiruten/
2022/12/2
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最新のAI技術と、最も古く新しい自然が出会う
━NATURE JAPAN の楽しさ
石川さんは、最も代表的な日本人のお一人である、と思う。自由で、好奇心が強く、常に新しい時代の最先端をつかむセンサーを持つ。最新のAI、IT技術を用いて、最も古く常に新しい自然のいのちを表現する。両極端をクロスさせる。金儲けなど頭にない。だってライフワークだもの。
宵越しの金は持たない性分を、天は憐れんで、ちゃんと養ってくれている。そこがまた凄い。天下にとって、意味ある仕事をしているからなのだろう。ほんとうに、楽しく、面白い、人をわくわくさせる方である。
山道を登りながら、「日本人とは何か」━石川さんと作品を通して考えた。
1. 外からやってくる異質なものを、どんなものでも一度、受け容れる「受容力」(仏教も儒教も西洋思想・科学技術も。聖徳太子は言った、「外道もまた、わが師なり」)。
2. その中から良いもの(可能性)と、良くないもの(制約・問題)を見極める「識別力(見極める力)」。
3. 異質なものを生かし、すでにあるものとつなぎ、化合させ、新しい洗練されたものを創造する「創造力(つなぐ力)」(神仏習合、和魂漢才、和魂洋才など。今、世界で大人気の歌手・藤井風も、幼い頃から世界のあらゆる音楽を聴いて吸収していた)。
これらは、日本人のこころの奥底に共通してある意識だと思う。そして、それこそが、日本の豊かな自然の中で育まれた潜在力の核心ではないかと考えるようになった。
昔の人は、自然から直接、愛、慈悲、智慧、また美の何たるかを体を通して吸収、体得していた。だからこそ、仏教であれ、儒教であれ、西洋思想・科学技術であれ、すべてを吸収し、自然の理に反するものは捨て、可能性を開くものは生かす、そして世界に類を見ない多様性を内包する文化が創造されてきたのだろう。美意識でさえ、両極の指向性がある。絢爛豪華で多彩な多様性を喜ぶ美、余分なものは削ぎ落し本質を愛でる侘び寂びの美。そうした日本人の感性と叡智は、自然の力によって縄文時代から長い時をかけて育まれてきた。その共通意識が、例えば近代では、幕末維新の列強による日本植民地化を回避し、逆に、今日において、東洋と西洋がクロスする日本だからこそ多様性を生かした文化の創造に挑戦し、世界に貢献しうる可能性を開いていると思う。日本の自然の力を見くびってはならない。
正月に、岡山県の津山という田舎に帰り、豊かな人情と美味しい食べ物を味わうほどに、また帰京して、石川さんの作品とエッセイを玩味するほどに、ますますこの感を強くしている。
石部 顯 拝
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