愚老庵ノートSo Ishikawa
新しい作品集のための試写会

月日の経つのは早いもので、四季折々の自然のリズムをお届けする「NATURE通信」を開始してから、はや5年が過ぎました。
月に一度のビデオレターをお届けするために、ひたすら収録を続けてきたおかげで、今、NATUREの動画サーバーには、新しい作品集をいくつもつくれるだけの多彩なシーンが貯まってきています。
移ろいゆく自然の美しさや生命のリズムを切り取ったこれらのシーンは、ひとつひとつ単独で見ると「儚さ」や「無常」を想起させてしまうかもしれません。
しかし、四季という大きなサイクルで、収録されたアーカイブ全体を眺めた時、そこには「もうひとつの自然」が見えてきます。
それは、誕生と死という「生命の循環」を造り出し、無常の奥にあって変わることのない「自然の摂理」です。
生命のリズムを造り出している創造の源には、人間の知や技を遥かに超えた目に見えない「自然の摂理」が存在しています。
季節の循環、大気と水の循環、海流の循環、そして、生きとし生けるものの誕生と死の循環など、地球生命体は無数の生命の循環とその連鎖によってつくられてれています。
NATURE JAPANが「作品集」を常設展示しているのは、複数のシーンをジグゾーパズルのように組み合わることによって、すべてがひとつに繋がった変わることのないこの「生命の循環」をお伝えしたいからです。
作品集を完成させるためには、収録してきたシーンを何度も見直し、テーマに沿って構成を考え、時間軸に動画をデザインしてゆかねばなりません。
これには、かなりのエネルギーと集中力が求められます。2年前に作品集を試作してみたものの今一つ満足できず、NATURE通信の制作と愚老庵の執筆に追われて、作品集は未完成のままになっていました。
しかし最近になって、世界が破局へと向かうスピードが加速度的に早まっているのではないかという危機感が心の中で高まってきて、私のお尻にも火がつきました。
集中すること2ヶ月、この2年の間に作品づくりに足りないと感じていたシーンを少しずつ収録していたこともあり、「生命の波動を求めて」というテーマで、一気に4つの作品集を完成させることが出来ました。
あとは、これをNATURE JAPANのサイトで公開すればいい、そう考えていたのですが、本当にそれだけでいいのだろうかという想いが湧き上がってきました。
NATURE通信を毎月見てくださっている大多数の方々は、作品をPCで視聴されています。最近では、動画を配信するストリーミング技術が進化し、PCやディスプレイの性能が飛躍的に高まったおかげで、PCでもそこそこ満足のいく画質で、NATUREを鑑賞できるようになりました。
しかし配信される動画は、データを軽くするために間引かれており、画質や動きの滑らかさ、音質は通信環境によって左右されてしまいます。
小さな画面ではほとんど分かりませんが、高精細な大画面ディスプレイで見ると、配信された動画ではオリジナルの画質が劣化しているのが分かります。
複製芸術の限界と言えばそれまでですが、そこには美術館の絵画を図録で鑑賞するような何とも言えないテイストの違いあります。
理想を言えば、動画のつくり手が、その作品を創り出したのと同じ視聴環境で、オリジナルの作品を見ていただくのが一番なのです。
これまで気心の知れた友人たちに、私が実際にNATUREを制作しているスタジオで、作品を試写してもらったことがあります。「自分の PCで見ていた時とは、驚くほど世界が違う!」それが友人たちの率直な感想でした。

NATURE JAPANのサイトを開設した時、人工のリズムに囲まれた日々の暮らしの中で、NATUREの世界と出会って心の中に自然のリズムを取り戻してほしい、そう願っていました。
そのために、移動中や待ち時間にも小さな心の旅ができるように、スマホの小さなディスプレイでもNATUREを視聴できるように、利便性を重視してサイトをデザインしました。
しかし、スマホの画面で画像を検索し、この世の夢や欲望を追う同胞たちに、心の深みに向けたNATUREの波動はなかなか届きません。
本当に心の中に自然のリズムを取り戻してもらおうと思ったら、もっと別の方法を考える必要があるのではないか、そんなことを考えるようになりました。
大自然の神秘と出会った時、私たちは感動します。感動することによって、私たちは出会った世界とひとつになり、その世界に深く没入することが出来ます。
NATUREの動画でこの深い感動を体験していただくためには、できる限り最高の視聴環境を用意する必要があるのかもしれない、最近そう思うようになりました。
高精細な大画面ディスプレイは、小さな画面では見えていなかった大自然の精妙な変化を描き出します。そして、自然が奏でる心安らぐ旋律やリズムに包まれた時、その音場は、画面の枠を超えて、視聴している人の想像力を遙か彼方まで拡張してくれます。
「このスタジオを試写会場にして、オリジナルのNATUREの世界を体験してもらうというのはどうだろう」新しい作品を制作している時に、そんなアイディアが閃きました。
かつて、オーダーメイドで動画コンテンツを制作していた時代、このスタジオは、自分たちが動画をつくり込む「場」であると同時に、クライアントと意見を交換しアイディアを出し合って、一緒に動画を作り上げる「場」でもありました。
しかし、わずかこの10年の間に、急速な技術革新によってこの制作環境は激変しました。オンラインで、画面を共有しながら動画を編集することができるようになったため、仕上がりに細部までこだわらなければ、クライアントは、わざわざスタジオに足を運ばなくても良くなったのです。
私は数年前に、この仕事をリタイアさせていただきましたが、生成AIが、カメラやマイクを使わずに動画を生成し、編集やナレーションまでやってのける時代が、私が生きている間に到来するとは考えてもいませんでした。
ネット配信される動画コンテンツの世界は、いつしか数の力と飽くなき利益を求める巨大なプラットフォームに飲み込まれてしまいました。
アテンション・エコノミー(関心経済)に支配された世界は、コストをかけずに効率よく表示回数を稼げる「表面意識を惹きつける動画」に席巻され、表現へのこだわりや深いクオリティを追求する動画コンテンツは、もはや「絶滅危惧種」になろうとしています。
そんな時代背景もあり、GROWのスタジオは今、高精細な大画面で放映するコンテンツのチェックや、細部まで仕上がりにこだわるコンテンツの制作にしか使われていません。
時代が変わってしまったのだと思います。しかし、考えようによっては、これは願ってもないチャンスだと思いました。今ならば、GROWのスタジオを、新しいNATURE作品を発表する試写会の会場にすることができるのです。
思い切ってやってみよう、そう決意しました。善は急げでスケジュールを調整し、11月17日から11月23日までの1週間、製作者と同じ視聴環境で新しい作品集を体験していただける「場」として、スタジオを解放することにしました。
詳細は追ってご案内させていただきますが、この「場」が、心の中に自然のリズムを取り戻すための「新しい体験スポット」になってくれることを願いながら、私は今、準備を進めています。
この新しい試みには、もう一つの利点があります。それは、NATURE通信を視聴してくださっている方、愚老庵の文章を愛読してくださっている方と、直接お目にかかれることです。
人は、会いたいと思っても会うための理由がないと、なかなか出会うことができません。
この新作発表試写会を「理由」として、会いたいと思いながらなかなか会えなかった方々と再会できたり、実際にお会いするのは初めてという方と出会えることを考えると、今から心がワクワクします。
コロナ禍以来、人とが出会う機会がめっきり減ったような気がします。あれから5年が過ぎましたが、私たちは、自分の身を守るために、人との間にさらに強固な防壁を築かなければならなくなりました。
職場や学校や地域社会だけでなく家庭の中でさえも、人と人との親密で温かな絆が断ち切られ、私たちは、心安らげる自分の居場所を失いつつあります。
そして今、物質的な豊かさと便利で快適な生活を支えてくれていた巨大な社会システムとサプライチェーンは、戦乱と環境破壊によって破綻し、世界中で社会不安が高まっています。
破壊と再生の時代、私たちが何故このような時代に生まれてきたのか、私たちは時代から何を呼びかけられているのか、AIにいくら尋ねても、この問いに本当の解答を出してはくれないでしょう。
数は少ないかもしれませんが、心を開いて語り合える仲間と出会えることが、どんなに有難く幸せなことなのか、私は今、愚老庵のネットワークを通してそのことを実感しています。
この「新しい体験スポット」が、心に自然のリズムを取り戻すステージとなり、縁友との魂の絆を思い出す「再会の場」になってくれることをひたすら願っています。
新しい作品集のための発表試写会への皆様のお越しを、心よりお待ちしています。
新しい作品集のための発表試写会は、11月17日(火)から11月23日(月)10時〜18時
GROWスタジオにて開催します。
詳細につきましては、追ってメールにてご案内させていただきます。
LINKS
◻️NATURE通信 October 2026「秋涛と紅葉」
https://nature-japan.com/nature-tsushin/
◻️愚老庵メールマガジン
「縁友往来」に新しい投稿があります。
「希望は日本」━西洋・知性の結論:3つの智慧
By Akira
https://grow-an.com/mate/mate-057/
「グローバルウォーミング」(地球温暖化)
By 流水
https://grow-an.com/mate/mate-058/
2026/10/26



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